7 伊坂幸太郎/魔王

魔王

魔王

伊坂さんはやっぱり天才だよ。間違いない。帯に書いてあった、角田さんの文章が、この小説にあまりにぴったりなので、そのまま引用させてもらう。

不思議な小説である。得体の知れない不気味さを味わわせつつ、しかし小説は、抜けるような澄んだ空をも垣間見させる。

不安は漠然としているけど、実際的なリアリティを伴っていて。『魔王』のラストはほんとうにぞくぞくと来た。世界は、日本はこれからどうなっていくんだろう、って。そして『呼吸』のラストで、牧歌的な雰囲気があって、ひどく安心する。こういう人もいるよね、世界は、日本は、まだどうにかなるんじゃないか、って。あー、すっごい面白かった。伊坂さんってすごい。