111 江國香織/ホリーガーデン

ホリー・ガーデン

ホリー・ガーデン

この余分な感じがきっと大好きなの。空気が穏やかで、ゆるゆるとしているのに、どこかひやりとしていて、果歩と静枝の関係性がすごく理解できて、そういうもののひとつひとつが愛おしくなる。
中野がほんとかわいい。一番最後の、「どうして今日はわかってくれないの?」って果歩に言わせてしまうシーンが大好きです。あと静枝が自分と芹沢の関係やしぐさのひとつひとつを、どこかで客観的にみながら動いたり自己嫌悪したり、するところとか、ものすごくうまいなぁと思う。わかるなぁて思うんだけど、それが「わかるわかる!」て感じではなく、ふと微笑むような、無駄がない。過剰じゃないなぁと思う。
でもこの小説は余分なものばかりで、そのバランスがとてもいいんだろうなぁとおもう。余分なものが、余分すぎずに含まれているのだと思う。はー、これほんとすき。手元においておきたいなぁ。今回も前回も図書館にお世話になっているのです。文庫もハードも装丁が好みじゃないのよう。にしても書き出しから好みすぎる。何度でも読みたい。