17 島本理生/波打ち際の蛍

波打ち際の蛍

波打ち際の蛍

やっぱり読んじゃうわけです。ほんっといいなぁ。これは名作だよ…。ナラタージュに続き、結構消費したんだろうなぁと言う作品なんだけど、そういうときのこの人の作品は、というかそうだから消費しちゃうんだろうけど、恋にたいして全力というか、生活の全ての視線が彼に向かっているような恋の仕方で、ほんとうに苦しくなる。
わたしは麻由がこれでもかってくらい好きです。というか、彼女の経験による自己保身を許さない感じがほんとうに苦しくて、でもたとえば何かあったときに、どちらを否定するのかとか、被害者はどっちなのか、というところをどんどん考えていくと、麻由のような極論にぶち当たるし、それってそういう風に考えたことがある人間なら誰にでも理解できることで、でもだからこそ抜け出せることもわかるし、苦しくなるなーと思う。
それが万人に通じる感覚かどうかなんてわかんないし(そんなことは他人に話すようなことではないと思うので。)、だからわたしは誰にでも共感できるおと思うとか気軽にかけないし、かいているテーマ自体も重いからお勧めとは言いがたいし、それでもわたしは、このひとの価値観によってかかれる文章がすごく好きなんだなぁってほんとうに心から思うんだなー。
新刊マダー?って感じでもうすぐこれの発売から10ヶ月なんですけど…。新刊マダー?なんかダヴィンチか野性時代のインタビューでこれからはたくさん書いてく!みたいなこと言ってらした記憶があるので、それからずっとわくわくしてるんだけど、…どうなんだろ。このあとにCHICAライフは出たけど、ありゃ別枠だろー。興味深かったけど、再読したいか?と問われればまた別問題ですし。というわけで早く島本さんの書く恋愛小説が読みたいです。でもちょっとくらい一方的な暴力から離れた劇的に甘いものが読みたい。むせかえるほど甘い話が読みたいとも思うわたし。