28 島本理生/大きな熊が来る前に、おやすみ。
- 作者: 島本理生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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『クロコダイルの午睡』と『猫と君のとなり』の男の子2人は、根っこのところがほんとうに似ていると思う。少年みたいな大人というか、素直で、自分の持っているものや考えをありのまま受け止めて言葉にする。それはそれで、正しいことだという説得力がある。2人とも、なんだかかわいい。特に、『クロコダイル〜』のラストは、とても哀しい。涙を流すようなものじゃなくて、ゆるい哀しみが、ひたひたと、膜のように薄く、心に張り付いてなかなか消え去ってくれない、そういう、どうにも出来ない感じのもの。*1あぁ、ばななさんの『哀しい予感』を読んだときの読後感と似通ってるのかもしれないなぁ。
やっぱり島本さんはすごいなぁと思う。ひとりひとりの心情描写や台詞に、すごい説得力とリアルさがある。あと、ご飯が美味しそうだというのも、わたしにとってはものすごくポイント高い。冷やしうどん、おいしそうだったなぁ…。今回も満足感たっぷりでした。だがしかし、島本さんは自分が納得できるものを書き上げるまで、テーマをひっぱるよね。『生まれる森』→『ナラタージュ』の流れを、この作品と『あなたの呼吸が止まるまで』も組んでいるのでは…という予感。『あなたの〜』はまだ読んでないんだよー。早く読みたいな。
*1:わたしにしか伝わらない気がする…文章力が欲しいねぇ。