31 江國香織/冷静と情熱のあいだ

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

わたしがこれを初めて読んだのは、たぶん中学3年生のときで、一番記憶に残ったのは他でもないマーヴのふくらはぎでした(…)そのときはあんまおもんねーなーって思ってたんだけど、今読むと全然違う。そりゃマーヴのふくらはぎの美しさは気にかかるけれど、きちんとこの物語を楽しめるようになったのだなーとなんだか感慨深いものがありました。映画も見たことがあるんだけど、マーヴが金髪じゃなくてとてもがっかりした。どこまでもマーヴに振り回されるわたし(…)アオイにとって順正(との記憶)は全てなのだなぁと、物語の端々から伝わってきて苦しいほどだった。ラストで、また元の生活に戻っていくアオイは、過去ほどの情熱を持っていなくて、それがきっと、苦しいのだろうなぁと思いました。焦がれても元には戻らないことをわかってしまえるくらい、アオイは大人になってしまったんだなぁ、と。