117 江國香織/冷静と情熱のあいだ-Rosso

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

だからどうして実写でマーヴは日系だったのか、っていう。完全にブロンドを想像しちゃう。何回読んでもそう。
読むたびに印象がかわる。去年読んだときはもっと穏やかな印象だったのに、今回は情熱が先行してくる。たった3日に濃縮された今と過去と未来がごっちゃになってせまってくる。あおいに迫ってくる東京がものすごいリアルに感じられて苦しくなるし、その感情はものすごい理解できる。なんでだろうか。おしせまってくる過去っておそろしいよね、たゆたうのはある種心地よくもあるのだけど、中毒性があるというか…こわいんだよね。
閉じて前回の感想とちょこっと。

  • わたしがこれを初めて読んだのは、たぶん中学3年生のときで、一番記憶に残ったのは他でもないマーヴのふくらはぎでした(…)そのときはあんまおもんねーなーって思ってたんだけど、今読むと全然違う。そりゃマーヴのふくらはぎの美しさは気にかかるけれど、きちんとこの物語を楽しめるようになったのだなーとなんだか感慨深いものがありました。映画も見たことがあるんだけど、マーヴが金髪じゃなくてとてもがっかりした。どこまでもマーヴに振り回されるわたし(…)アオイにとって順正(との記憶)は全てなのだなぁと、物語の端々から伝わってきて苦しいほどだった。ラストで、また元の生活に戻っていくアオイは、過去ほどの情熱を持っていなくて、それがきっと、苦しいのだろうなぁと思いました。焦がれても元には戻らないことをわかってしまえるくらい、アオイは大人になってしまったんだなぁ、と。

全てをぶつけあうっていうのは確かに子供の恋なのかもしれないけど、そんな経験があるというのはすごいことだなぁと学生生活残り三ヶ月にして思います。わたしはきっとおたくじゃなくてもそんな恋はできなかっただろうし、これからも出来る気がしない。全てをぶつけあうっていうのは、何かをなくす覚悟があってのこととしか思えない。でもきっと、そんなことが気にならないくらいに夢中だったんだろうな、と思うと、うらやましくもあるよね。
ご近所物語@矢沢あいでわたしが一番好きなシーンはバディ子が勇介との写真を切りながらベランダで泣いているところなのだけど、わたしが好きなのはモノローグなのだ。

  • 2人の時間を、本気で閉じ込めたいと願った、17歳の冬の入り口

結局は、あおいと順正もきっとそうだったのだと思う。恋愛に夢中になれるのが心底うらやましい。