120 江國香織/薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

この本好きなのだけど、読むときにものすごい精神力を使う。ぐったりはしないのだけど、なんとなく、疲れる。
でも好きで、ときどき読みたくなる。自由な衿が好きだし、衿が好きな土屋もとてもいいと思う。衿の、土屋の好きなところを羅列するところが、自分の大好きなものだけを口にするところが好きだ。衿はわかりやすいし、はっきりしてて、しなやか。
いわゆるヤンデレ、というものが好きなのだけれど(好きすぎて病んじゃう、って意図です。わたしは。)桜子は完全にヤンデレ的なのだけれど、わたしは、ヤンデレで、それを受け入れてくれるひとがいるとか、ひとりでぐるぐるしているのが好きだ。相手の妻にそれを告げるなんていう、まったくもって卑怯としか言いようのない人間はきらいだ。だって相手に妻がいるのに惚れたのは、桜子なのに。自分から罠にはまって、それをわざわざ相手の妻に言うなんて、ほんとうに卑怯だしフェアじゃない。まぁ恋なんてそんなものかもしれないけども。
麻里江は見ていて気持ちがいい。陶子の依存の仕方も、エミ子のさみしさも、れいこのやるせなさも、理解できすぎていろいろと苦しくなった。求められるのと幸せは、ある意味でイコールだ、と思う。