79 恩田陸/上と外

上と外

上と外

これだけ表紙出ないw装丁も割と良いのになー。残念。
すばらしいエンタメ作品でした。醜悪にも見えるけれどタフな千鶴子は良かった。恋愛ってのはそういうものじゃないかなぁと思うしね。それだけではもちろんないだろうけれど、使い方としてうまいなって思う。そこでただ恋愛に現をぬかして、何かが起きたときにぎゃーぎゃーわめくだけの女を恩田さんが描くはずもなく。チカも千鶴子もタフでいい。
そ、し、て、やっぱりニコだよねぇえええ!あの聡明さ!あのタフさ!図太さ!いいわ。練もいいんだけど、作中あまりにチカ、チカってなりすぎて、シスコンじゃね?と思いたくなったのが残念かも。そういうのとは無縁であってほしい。まぁそれは全恩田作品共通して言えることですけど。過剰な執着なんかとは無縁、どこかドライでリアリストであってほしい。作品がリアルだけど、リアルじゃないからね。
これも一応たぶんSFになんのかな。オマージュがはっきりしてるなら生かせるかもしれないし、そうじゃないにしても千鶴子の存在は結構でかかった今回。冷静になればこういう人、恩田作品にたくさんいるよね。少女みたいな爛漫さを持っているけれど、しっかり大人の女というか。
展開を早く知りたくてガツガツ読んでしまって、ストーリーを追うことに夢中になりすぎた。今度はきちんと文章を追いたい。もう1回読む。でもって文庫は買うこと。